「温故創新」231006 N1310伊波喜一

代執行 辺野古の海の 宝物 戦争愚か 無駄な投資を     

 天井高く、雲が薄く延びている。白い雲の隙間から、秋が覗く。

 普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、沖縄県は「承認は困難」と国へ回答した。国土交通相は昨日、国が県に代わって承認する「代執行」のための提訴を起こした。

 巷には、自治体の長である玉城デニー知事が最高裁判決に従わない、という批判がある。しかし、知事が主張しているのは、「軟弱地盤の改良工事の設計変更申請は、認められない」という一点である。事実、工事には問題点がある。

 軟弱地盤の調査が不十分で、代替飛行場としての機能が果たせるかどうか。また、工期が長期にわたることが予測されるため、普天間飛行場の危険度の早期除去に結びつかない。

 そもそも国土面積の0.06%の沖縄に、全国の米軍施設の70%が集中している。まさに、異常事態である。実際、19年に実施された県民投票では、7割超が埋め立てに反対している。

 辺野古基地完成には、あと12年を要する。これには、海底の地殻変動南海トラフなどの要因が、加味されているとは言い難い。辺野古は太平洋の荒波に、直撃される場所にある。想定外の現実を突きつけられた時に、果たしてこの予定通りにいくだろうか。

 無駄な軍備に歯止めをかけず、1兆円以上も軍事費を注ぎ込む。このような国の政治のあり方に、疑義を呈するのは当然であろう。