「温故創新」231007 N1311伊波喜一

ノーベルの 遺志に応えん 平和賞 獄中宣言 禁錮31年     

 カマキリが車にしがみついている。産卵の場所を選んでいるようだ。

 ノルウェーのノーベル委員会は今年の平和賞に、イランの女性人権活動家ナルゲス・モハンマディさん(51歳)を選んだ。

 モハンマディさんは学生時代から、女性の権利拡大や死刑廃止などを求めて、活動してきた。

 しかし、体制への反抗や抵抗を厳しく禁じてきたイラン政府は、弾圧を繰り返した。逮捕歴13回、計31年の禁錮刑、154回のむち打ち刑を言い渡され、現在も収監中である。

 イランでは昨年9月、当時22歳の女性が風紀警察に逮捕され、直後に死亡した。へジャブの被り方に問題があって逮捕した、と政府は公表した。が、その死因に抗議した人々を政府は弾圧し、500人以上が死亡、2万人以上が拘束された。

 本来、マホメットの教えは人の生きる道を説いている。欲望のままに突き進むことの愚かさと恐さを、説いている。戒律はあくまでも化儀であり、本義ではない。

 宗教には本義と化儀があり、本義から逸脱すればするほど、化儀に固執する。固執から、戒律化への規制を強める。へジャブの被り方など、その好例である。

 イランではその混乱が政治を突き動かし、教条主義的に日常を取り締まっている。犠牲になっている子女が、哀れでならない。