「温故創新」180808 N248 伊波喜一

昏睡の 中に浮かぶは 故郷の 平和守りて 道過(あやま)たず

 沖縄県知事の翁長雄志氏が、8日午後亡くなった。67歳だった。米軍普天間飛行場の名護市辺野古基地移設阻止を掲げ、反対運動を展開中だった。その矢先の今年4月、すい臓がんが見つかり摘出したが、がんは肝臓に転移しており、7月末より昏睡状態に陥いる。そして政務の志半ばで、天国へと旅立った。夢うつつの中に去来したのは、沖縄の行く末だったことだろう。 今年6月の沖縄慰霊の日で、知事は「万国津梁(しんりょう)」の例を引いて、「周辺の国々と共存共栄を図ってきた琉球の歴史に学び、日本とアジアの架け橋として役割を果たしていきたい」と結んだ。今、沖縄には年間1千万人近くの観光客が訪れている。その内、アジアの台湾・韓国・中国本土・香港などからは、200万人を超える。国の体制や考え方、慣習の違いはあれど、民間人による交流がこのように出来るのも、平和であればこそである。 筆者の子ども時代、嘉手納基地からB52戦略爆撃機ベトナム戦争へと飛んで行った。刹那と衝動に駆られる若い米兵達の姿が忘れられない。戦争は人を狂わせる。