「温故創新」231221 N1354 伊波喜一

代執行 民意を聞かず 強権の 自治の侵害 国を優先       

 風が冷たい。北海道はマイナス10℃にもなる。寒波の到来だ。

 福岡高裁那覇支部は、国が県に代わり防衛省の地盤改良工事の申請を承認する代執行に向けて起こした裁判で、国を勝訴させた。これにより、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設が、確定する。

 地方自治法は代執行の要件として、「放置すると著しく公益を害する」ことを挙げている。今回の判決では、「国が承認しなければ、人の生命・身体に大きく関わる普天間の危険性除去が大幅に遅れる」としている。つまり、「社会公共の利益を害する」というわけである。これだけを見ると、国の言い分が勝っているように思える。

 しかし、そもそも、普天間基地の代わりがなぜ沖縄に限定されなければいけなかったのか、その事が問われなければならない。米軍基地の沖縄への過度な集中こそ、まず改めなければならない課題である。

 ましてや、辺野古の大浦湾は外洋に接した波の荒いところである。海流の強さは相当なものである。そこに軟弱地盤の現実が加わる。どう考えても、基地に向いているとは言い難い。

 さらに、海洋汚染の問題も被害が深刻である。何十億年もかけて自然が築いてきた紺碧の海を、一体どのような方法でリカバリーしていけるというのか。科学的な根拠は示さず、防衛上の観点だけで押し切ろうとする方針の決め方や進め方の粗さに、懸念が拭えない。

 一度失った自然の美しさと人の自尊心は、取り戻すことが出来ない。