「温故創新」230906 N1281伊波喜一

辺野古への 設計変更 是正指示 沖縄県の 敗訴確定   

 竹林の笹が、遠目にゆれている。上空では、風が強いようである。 

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画をめぐり、軟弱地盤が発見された。そこで防衛省はその申請の設計変更を承認するよう、国が県に「是正指示」を出した。

 これを違法として、沖縄県は21年に裁判に訴えた。4日、その判決が最高裁から出され、県の敗訴が確定した。

 是正指示は、国の業務を自治体が代わりに担う「法定受託事務」である。知事は「裁決の趣旨に従う義務を負う」としている。玉城知事は今後、法治主義と県民世論(4年前の県民投票で7割が反対)のはざ間で、判断を下さざるを得ない。仮に知事が申請を承認しなければ、国は県の代わりに承認する「代執行」の手続きをする。

 辺野古の埋め立て工事は、150㌶(東京ドーム32個分)の内、39㌶は土砂の投入が完了している。ところが残りは、マヨネーズ並みと言われるぐらい軟弱な土壌のため、7万本の杭を打ち込む。総工費もすでに、当初予算の2,3倍の9300億円に達している。

 米軍への引き渡しは、早くて2030年代となる。最終的に普天間飛行場の完全移転は、さらにその後となる。完成しても果たして太平洋の荒波に耐えうるのか、懸念材料はいくらでもある。

 大切な自然を壊し、時間と金と労力を無駄にする。日米政府がまともな経済観念を持っているとは、とても思えない。