「温故創新」210215 N668 伊波喜一

原発の 風評越えて 米農家 福島ブランド 活路拓かん         

 昨晩の地震の揺れは、長く感じられた。

  夜半だったこともあり、2分程度の揺れがその何倍にも感じられた。地面の底がぐにゃりぐにゃりと揺れていて、家が引き裂かれるような恐さだった。

 2階の箪笥の引き出しが、一部開いていた。震源地の東北は、さぞ体感の揺れを感じたことだろう。 

 福島原発事故から、やがて10年になる。発生から10年を迎えるが、福島県の農業に今も影を落としている。

 米農家もご多分に漏れず、深刻な風評被害を受けた。特に成長期にある子育て家庭では、福島県産を避ける傾向があった。

 SNSやマスコミの心無い投稿やコメントが、どれだけ生産者や県民の心を引き裂いたことだろう。農家はセシウムなどの残留放射能を綿密に調べ、安全性と品質管理を徹底してきた。 

 10年前と比べ、米の収穫量は44.6万トンから36.7万トンにまで回復してきた。

 輸出量は108トンから170トンへと上昇している。その間の4年間は残留放射能が懸念され、全く輸出できなかった。 

 そのような中、血の汗流して開発した新ブランド米「福、笑い」が、20年度は17万トンも売れた。

 福島の執念が結実した瞬間だ。大地讃頌(さんしょう)を喜びたい。