「温故創新」190331 N265 伊波喜一

改元に 託す人あり 平穏な 時代開けと 願い込めなん

 今日で平成の30年余が終わる。平成の始まりはバブルが崩壊し、経済的低迷を余儀なくされた時代だった。また、阪神淡路大震災東日本大震災など、多くの自然災害に見舞われた。その再建や復興は次の時代へと引き継がれていく。 私一個の生活においても、海外赴任や子育て、仕事の充実と退職、親の看取りなど、この30年は変化に富んでいた。 人類の卓見という点から見るとその傾向はさらに顕著で、遺伝子解析やiPS細胞の開発、PCの普及やAIの実用化などが人類へ与えた影響はマイクロ級である。もはや人類は、神の領域にまで手を伸ばしているのではないのか、とさえ思えてしまう。超高度な頭脳社会の到来に、人類がどこまで対応していけるのか、今後の課題であろう。 さて夕刻、玉川上水べりを自転車で走っていると、突如目の前に桜並木が現れた。地上に近い部分は満開の花が開いていたが、木のてっぺんはまだ三分咲きである。空の青色に花びらの桃色が溶けこんで、得も言われぬ美しさだった。時分の花を咲かせるのは、桜にかぎらない。周りの環境に左右されず、時分の花を咲かせる草花たちの健気さに、気持ちを新たにした。