「温故創新」201203 N604 伊波喜一

海渡り たわわに実る 薄黄みの スターアップル 雨混じりかな      

 朝から一雨来そうな天気だった。案の定、途中から降り始めた。

 そのせいで、雑草が抜きやすい。それにしても、草々の根っこのしなやかさとしぶとさには、舌を巻く。 

 海を渡ってきたスターアップルの実が、たわわだ。

 当初は根付くか心もとなかった。ところがいつのまにか、両手で囲むほど幹が太くなっている。 

 3年前に枝を切りすぎたせいで、昨年はほとんど実がならなかった。今年は?! 見事に豊作だ。 

 スターアップルは、僅かの間に薄緑の実が薄黄に変わる。表面がリンゴのような皮で覆われているので、賞味期間がありそうだが、またたく間に熟する。 

 味はナシを水っぽくした感じだ。初めて食べた時は物足りなく思ったが、慣れると飽きがこなくてなかなか良い。 

 薄緑の実が薄黄になると、風に枝が揺られたりするだけで実がぽたりと落ちる。勿体ないぐらい、大胆に落ちてくる。もう少し、留まってくれていても良さそうなものだが・・・。 

 物言わぬ草木ではあるが、時を知り、時を逃さず、時分の花を咲かせる。そして、時に感じ、時に応じて、我が身を処する。 

 この潔さを、私達はどこかに置き忘れている。その私達にとって、自分を見つめ直す格好の時は今をおいてないのだ。