「温故創新」211208 N964 伊波喜一

カツ定を ぺろりと食べて お茶飲んで 義母の笑顔に 嬉しさ増すか 

 日の出前の7時は、まだ暗い。じきに陽が上ってくる。

 それにしても、朝から陽射しが強い。日中は24℃にもなり、直射日光が肌を刺すようだ。紫外線を上手に避けながら、庭仕事をする。 

 今年もスターアップルが豊作で、たわわに生っている。

 鳥がちょっとつついただけで実が落ちるので、地面にはレモン色の実が散乱している。鳥たちの勝手にさせるわけにはいかないと、実をもごうとする。

 だが、高いところは3m近くもあるので、とても手が届かない。幹に上り、滑り落ちないよう枝に足をかける。それから虫取り網を延ばし、実を擦り取る。簡単そうに思うが、これが案外難しい。

 スターアップルに限らず、木の枝は入り組んでいる。どれもが同じ方向に向きを揃えてくれればいいが、実際は複雑に生えている。

 そのせいで網が実まで届かなかったり、途中で引っかかったりとややこしい。そんなこんなで、何とかバケツに3杯分採り終えた。

 そこから傷みのないものを選び、知人に配る。義母にも届けたら、大層喜んでくれた。ちなみに義母の好みは、もう少し熟させてから食べることだ。

 30年前に義母がグアムから運んできた苗が、沖縄の赤土に根づいた。そして大木となり、実を生らす。義母も感慨深いことだろう。

 夕食を共にしながら、当時の話にひとしきり花が咲いた。