「温故創新」240215 N1394伊波喜一

生活の 質にこだわり 脱・成長  GDPの 本質問わん

 春一番が吹き荒れている。例年より半月ほど早い訪れとのことで、日中はYシャツ1枚でも汗ばんだ。夜半から朝方まで咆哮が続いた。

 日本のGDPがドイツに抜かれて、世界4位となった。この分では、5位のインドに抜かれる日もそう遠くはないだろう。

 ドイツの人口は8300万人で、日本の3分の2である。労働時間が2割ほど短いので、日本に比べて生産性が高い。日本は生産性が低く、付加価値に結びつかない仕事や調整が多い。 

 日本は1960年代、世界の経済大国の仲間入りをした。この時の基準が、GDPである。先ず生産性を高め、作ることが優先された。それを売って、買ってもらう。今のようにSDGsを念頭に置くことなど、考慮もされなかった。

 それが公害問題や大量ゴミなど、環境破壊へと展開した。先進諸国はGDPを拡大することで、国家予算を大きく獲得することが出来る。国内予算は元より、ODAなど海外への輸出にも強力な武器となる。

 大量生産し大量消費し、大量投棄する。この右肩上がりと呼ばれる経済活動に、どれだけの意味があるというのか。むしろ、あるべきものの寿命を丁寧に、最後まで使い切っていくライフスタイルこそ、美しい。この発想は、世界中の伝統工芸の中に見い出せることである。

 消費拡大を競うGDPより、内面の充実を活かす社会のあり方へ舵を切ることこそ、日本の目指す方向ではなかろうか。