「温故創新」240123 N1377 伊波喜一

「新しい戦前」 今の状況は 現実見る目 哲学ありて

 青森に出張中だった娘が、新幹線停電のため足止めを食らった。何とか飛行機で帰って来たが、大きな事故のあった後なので案じられた。

 「クロ現」に佐藤優氏が出演した。印象に残った言葉に、「相手(国)の内在的論理を知る」「スローガン先行でなくリアリズムで物事を見る」「即時停戦」がある。

 ロシアとウクライナパレスチナイスラエル、中国と台湾に関しては、互いの理屈を知らなくては前に進めない。ロシアも中国も、相手国と直接に対峙することを避け、緩衝地域を設ける。その上で、複雑な事情を抱える国家間の停戦交渉を進めることに、現実味がある。 

 またスローガンでは対立しても、互いが生きのびるためには、食料も水も安全も平和も譲り合ってこそ得られる。それがリアリズムだ。 

 このリアリズムは、米国のように自らの倫理と正義感を猛信し、力づくで米国色に染め上げることではない。

 先の大戦の無謀な国家戦で敗戦した日本は、武力行使がいかに悲惨な結末を迎えるか、実体験した。その反省を生かし、実害をもたらしたアジア諸国ともこの間友好関係を保っている。何といっても、日本は諸外国に殺傷能力のある武器を輸出していない。この日本のリアリズムこそ、停戦に向けて大きな力を発揮する。

 日本は、政治腐敗で停滞している場合ではない。自民党に代わり、力ある人材を登用して、国際世論に発信してゆきたい。