「温故創新」240124 N1378 伊波喜一

復興の槌音 目には 見えねども 手探り続く 道遠けれど

 全国的に大雪となっている。自転車のハンドルを握る手が、冷たい。

 庭のサクランボに、固い蕾がついている。毎年、梅の開花の後を追いかけるようにして、花を咲かせる。娘の入学を祝って植えたのだが、ひょろひょろしていて、育つかどうか案じられた。それが、こんなにも大きく育ってくれた。

 底冷えのする2月下旬には、白い花びらが顔をのぞかせる。薄曇りや冷え込みの厳しい寒さに耐えながら、健気にも咲き出だす。そして、咲き競うように枝を飾る。時に感じて花を咲かせる姿に、いつも鼓舞されてきた。

 3月下旬からは赤い実を生らせ、食に色どりを添えてくれる。鳥たちも始終やってきては、実を啄む。そのような光景も、今年が見納めになるかも知れない。

 そう考えて、近所の植木屋さんに頼んで、枝を小ぶりにまとめてもらった。丈夫に育つよう、そして害虫にやられないよう、切り口に薬をぬってもらった。

 その蕾に、ツグミがやってきた。固くて食べられない筈だが、つがいでやってきてピーチクつついている。よく見ると、蕾の中に微かにピンクが覗いている。これを、実と勘違いしたのかも知れない。

 あと1カ月すると、花が咲く。そうしたら、蜜を吸いに来たらいい。2カ月したら、実が生る。たらふく、食べられるといいのだが。