「温故創新」230823 N1267伊波喜一

認知症 新薬製造 日本でも 治療態勢 議論深めて   

 8月も下旬となった。全国的には、40℃を越す地点が、数カ所もある。この調子では、夏の終わりはまだ先のことのようだ。

 アルツハイマー病の進行を抑える新たな薬の製造販売が、厚労省で承認されることとなった。認知症の約7割を占めるアルツハイマー病は、アミロイドBと呼ばれるたんぱく質が脳に溜まることで起こる、とされている。

 開発された新薬レカネマブは、このアミロイドBを除去する働きがある。より早い段階で治療を始めた方が、効果が得られやすい。

 また、アミロイドBの蓄積を調べる方法も、血液検査で出来る。これだと体への負担が少なく、患者やその家族が安心して検査に臨めると期待されている。

 脳も体の一部である以上、老化は避けられない。適度な睡眠・栄養・運動は、体の健康を維持する基本である。その上で、社会とどう向き合い、関わっていくかが大切である。

 人の営む社会は、多様な価値観で成り立っている。理屈や我を通せば、決裂は時間の問題である。相手との距離感を持ちながら、押したり引いたり出来るかが、老後の人生の試金石となろう。

 人生100年時代である。多少の惚けは、致し方ない。惚けがあっても、人との関係を築こうとする姿勢は、その回りを明るく豊かにする。身近な高齢の方と接していて、そのことを実感する。