「温故創新」210824 N858 伊波喜一

老いてなお 脳の機能は 伸び盛り 刺激与えて 活性させなん            

 蝉の声が聞こえてくる。8月の始めに比べ、心なしか小さく響いてくる。去りゆく夏を、惜しんでいるのかも知れない。 

 人生100年時代と言われているが、手放しで喜べる人は少ないだろう。体の機能の衰えは言うに及ばず、脳の機能の低下は切実である。

 40代の頃は、「認知症になるのは恐いこと」と思っていた。いざ60代になってみると、認知症はごく当たり前の事かもしれない、と思うようになった。

 実際に私自身、忘れることが多くなった。特に人の名前や地名、正確な日時などは、忘れやすい。

 どころか、出勤時の3点セットである定期券・スマホ・弁当も、指さし確認しないと忘れる始末だ。玄関を出てから弁当を持ち忘れたことに気づき、取りに戻ったことも2度・3度ではない。

 これなど、認知ではなく不注意から起こることであるが、そのことで脳への負担を軽くしている。 

 年と共に脳も委縮する。機能も衰える。

 ところが、そうした中でも脳は新しい回路を作り、いくつになっても機能を高められることが分かっている。 

 その秘訣は身の回りの出来事に関心を持ち、人と関わることに尽きる。高齢期の幸福感は、人とのつながりと深く関わっている。

 利他の心こそ大切なのではないだろうか。