「温故創新」230824 N1268伊波喜一

処理水の 放出ついに 始まりて 国と東電 責任重し   

 ここのところ、めっきり陽の落ちるのが早い。午後6時となると、翳って来る。いつの間にか、秋が庭に足を伸ばしているかのようだ。

 今日、東京電力福島第一原発の処理水を、海洋放出した。福島第一原発では炉の冷却水に地下水や雨水が加わり、汚染水が増え続けている。廃炉作業の敷地確保のためには、保管タンクを減らす必要がある。汚染水から大半の放射性物質を取り除き、海水で薄めた処理水を30年かけて放出することとしている。

 処理水放出について国際電子力機関(IAEA)は、「国際的な安全基準に合致する」との報告を公表している。ただし、事がコトであるし、物がモノである。不断の厳格な監視と情報開示が必要であることは、論を待たない。

 今後、核燃料(燃料デブリ)の取り出しを、速やかに実施しなくてはならない。1~3号機にはまだ、合計880㌧もの燃料デブリがあると言われている。この燃料デブリの取り出しが進んでいかないと、汚染水は無くならない。それで果たして、2051年までに廃炉にすることが出来るだろうか。

 国と東電は、国民や近隣諸国からの疑惑の目に、引き続きデータに基づく丁寧で適切な説明が欠かせない。すでに、一部の隣国からは風評被害が起こっている。目に見えない放射能の処理水について、国際基準に則り、堂々と説明責任を果たしてゆきたい。