「温故創新」230825 N1269伊波喜一

買いたたき 生成AI 跋扈する 事前の協議 規制の網を   

 大雨に見舞われた秋田でも、2学期が始まった。床上浸水で水に浸かった教室の整備は、並大抵ではなかったことだろう。頭が下がる。

 生成AIで、文章や画像を自動的に作り出すことが出来るようになった。芸術の世界では実際に、贋作騒動が湧き起こっている。

 フリーライターの世界では、すでに買いたたきが起きている。これまでの単価に対して、AIを使えばさらに単価を下げられる。結果、これまでの単価の半値での取り引きを、依頼主から要求される。

 背に腹は代えられぬとばかり、要求に応ずる。すると、その過当競争の波が広がり、同業者同士のコストダウン合戦へと仕向けられる。

 これは、かつての行政改革契約社員の流れと同じ構図である。自由競争の原理を前面に押し出し、誰でもその競技に参加できることを建前とする。誰もが、平等に権利を持っているとしている。

 ところが、フリーランスの仕事には本来の拒否権が付与されていない。もし依頼された仕事を断れば、その仕事は同業他社に回る。

 本来ならば双方が労働条件を示して、双方に利のある全うな議論をしなくてはならない。そこで結ばれた約束は、破ってはならない。

 だが、頼るすべのないフリーランスには、その約束は幻となる。なぜなら、圧倒的に依頼主の方が強い立場にあるからだ。

 企業はコンプライアンス(法令順守)を義務付けられている。それは、雇用者の権利を守ることにも適用されることを、知るべきである。