「温故創新」230826 N1270伊波喜一

考える 野球づくりを 目指しつつ 目線を下げて 聞く耳立てて  

 慶応高校が、甲子園で107年ぶりの優勝を果たした。「エンジョイベースボール」を掲げ、従来のやり方を変えて選手を育成した。  

 監督の森林貴彦さんは付属小学校の教諭をやりつつ、監督を務めている。一般企業での社会人経験を経て高校生に求めるものに、「社会人になっても通用すること」を身につけることがある。

 挨拶1つとっても、「チース」「アザース」ではなく、きちんと返す。また監督からの一方的な指示ではなく、バントやヒット、盗塁などの意味を選手達に考えさせていった。

 そのためにも、選手とコーチ、監督とはフラットな関係作りを意図し、話し合いを根本に据えてきた。

 監督一人ではとても大所帯の一人ひとりと話すことは出来ない。そこで、15名いる学生コーチにその役も手伝ってもらいながら、風通しの良いチームを作ってきた。

 上級生と下級生の関係も同様に、互いをさんづけで呼び合い、互いに提案したりされたりしながら、工夫・改善をしてきた。

 一朝に、このようなチームが出来上がるわけではない。失敗もその分あったことと思う。しかし目標を示し、ぶれずに基本を積み上げてきたからこその優勝である。

 人の話を聞こうともせず、自分の考えを押し付ける組織風土では、人は育たないし伸びない。聞く耳を育てることが、先ず先決であろう。