「温故創新」230312 N1194伊波喜一

消沈の 隘路にはまり 自問する 励ましの声 背中押すかな 

 昇任試験を前になかなか合格できない後輩を連れて、先輩に会いに行った。今回が最後の機会だけに、本人も複雑な心境であろう。

 試験に落ち続けたりすると、誰でも自己否定しがちだ。挑戦しないうちから、ダメな結果を予測してしまう。しかし、自分の限界に挑戦したかというと、筆者も忸怩たるものがある。

 人は頭では分かっていても、100%全力投球しているとは限らない。悩んではいても、では実際に自身の全存在をかけて挑戦しているかというと、疑わしい。案外これまでのやり方を踏襲して、自身を納得させていることが多い。

 その傾向を打ち破ってほしいと、アドバイスをお願いした。

 先輩曰く「1つ目は人様の助言を参考に、自分と向き合うこと。そして、自身の課題を深掘りすること。2つ目は誠実に仕事を続けること。回りからどう思われるかを気にするより、自分で納得のいく仕事をすること。とにかく徹すること」。

 当たり前すぎることのようにも聞こえるが、至言である。自身に向き合わずにハウツーで得たものは、付け焼刃である。あとに残らない。

 また、どんなことでも、続け抜いたものにはいぶし銀の輝きがある。迷いや諦めを打ち負かし、決定(けつじょう)の心でやり通す。その姿勢こそ、自身の勲章となろう。

 殻を打ち破って後輩が飛躍することを、願って止まない。