「温故創新」221209 N1142 伊波喜一

夢のよう 近くて遠し コスタリカ 赤子抱く手に 残る感触

 コスタリカから44時間かけて戻ってきたら、東京は真冬だった。平均気温が10℃以上も違うため、悪寒が続いた。

 それにしても、東京は空気がきれいだ。ディーゼルを廃止し、公害対策を重ねてきた結果である。電信柱が玉に瑕であるが、歩道もそれなりに整備され、歩きやすい。確かに、車いすでの移動はまだまだ不自由だが、それは今後の街並み設計に依るだろう。

 日本の基準からすると、コスタリカは道路などのインフラ整備が十分ではない。穴ぼこの車道など、日本では見ることさえできないが、彼の地ではところどころに見られる。事故でも起きようものなら、大変なことになると案ずるのだが、平気なようだ。おそらく自己責任ということになるだろうから、災難に合わないようにしないといけない。

 日本ならば、先ずこうはいかない。穴の周辺部も含めて予算化し、修理するだろう。その分、予算も時間も人手もかかる。なぜなら、いったん事故にでもなれば、訴訟問題に発展しかねない。彼の地のこのアバウトさが、面白い。筆者の小さい頃によく見られた光景が、彼の地にまだ残っていることに驚く。

 しかし考えてみれば、全てを平等に丁寧にやろうとすれば、時間もコストもかかるのは避けられない。「木を見て森を見ず」では困ろう。

 あれもこれもと求めるのではなく、国民が必要最低限を理解し、納得していかなければならない時代に、日本は直面しているのだ。