「温故創新」210606 N779 伊波喜一

子育ては 人の幸せ 願う道 国の介入 道過つか          

 窓外の欅の緑が濃い。さわさわと枝が風に揺れている。上空は荒れ模様のようだ。 

 中国では3人目の出産を認めている。30年にわたり一人っ子政策を取ってきたが、16年にふたりっ子を認めた。それでも合計特殊出生率は、20年に1.3まで下がった。

 そこで一転、今度は産めよ増やせよ、ということになった。そのためには、安定した労働環境の整備が大事だということで、出産休暇を現行の最低3ヵ月から3年まで延長した。

 ところが、3年も女性が職場から離れるとキャリアを失うと、ネット上で猛反発を受けている。 

 また、住まいや教育にかかる費用が大きく、子だくさんが好まれない傾向が見られる。これは農村部においても同様で、自分の人生をより自由に生きたいと思う女性が増えてきている。 

 中国の傾向は、そのまま日本にも当てはまる。

 自己実現のためにキャリアを目指すうえで、男女差はない。子育て期間をハンデと取るか、それとも経験値を豊かにする機会と捉えるかは、個々人の置かれた状況と意識による。 

 ただし、待機児童ゼロなどの支援には、国や自治体が積極・果敢に環境整備をしなければならない。

 子育ての苦労と費用の全てを、個人任せにしてはならないのだ。