「温故創新」221012 N1122 伊波喜一

繰り返す 心の闇に 潜むもの 自傷行為を 止める困難             

 湿り気のある空気が、明日からの下り坂を予感させる。早朝、花小金井駅で人身事故があり、大幅に列車のダイヤが乱れた。1時間の遅れを取り戻そうと、駅に停まるたびに人が乗り込んできた。

 自傷行為が静かに潜行している。コロナ下では思い描いていた計画が進まず、ストレスフルな状況下にある。ところが、相談相手が見つからず、孤軍奮闘をよぎなくさせられる。

 その自傷行為には、様々な原因がある。飲酒や喫煙、摂食障害的な食生活、薬物乱用、虐待や強姦、継続的なパワハラ愛着障害なども、全てその因子となる。つまり生き方全体が、自傷的であるともいえる。

 人の心は複雑である。人は言葉によって考える。言葉には微妙なニュアンスがある。言葉の持つグラデーションである。この言葉の意味合いを掬い取るのは、極めて難しい。

 なぜなら、言葉のグラデーションが育つのは、親が子どもの思いを受け留めた時間に比例するからだ。

 子どもが思いを心に表わした時に、しっかり受け留めてもらえた子どもは安心する。この安心感が愛着を形成し、その後の巣立ちに影響する。自虐的な子ども達が生きる力を得ていくには、その時点にまでさかのぼり、心を満たしていかなくてはならない。

 自虐の闇の声を聞き取るには、使命感と情熱と根気が必要となる。「経世百年の功」は、社会全体で聞き取る力を蘇らせることにある。