「温故創新」211118 N944 伊波喜一

異国の地 言葉のハンデ 乗り越えて 1年半の 出会い大事に                

 午前5時の窓外は、まだ灰色の闇にある。街灯の光が届かなかったら、先が見えない暗さだ。

 日の出の6時20分までには、まだ間がある。この間に食事をし、新聞に目を通し、6時半に出勤する。いつもながら、慌ただしい。 

 現センターでの「外国人日本語指導(中野フレンドルーム)」が、19日閉室する。昨夕は小学生の部が閉室し、4名の子等と別れを惜しんだ。

 コロナ下の昨年5月から、外国人指導は始まった。ほとんどの子が日本に来たばかりで、簡単な日常会話は元より、読み書きなど全く出来なかった。

 中国、ネパール、バングラデシュ、タイと育った環境が異なる中、言葉だけを頼りに意思の疎通を図るのは至難の業である。当初は互いにチンプンカンプンで、翻訳機を仲介して会話していた。

 それが今では、教科書を参考にしながら勉強を進めることが出来るようになった。子ども達の努力は言うまでもないが、彼等を支え続けた家族やクラスメートの存在を抜きにしては語れない。

 国籍や学年を超え、大人も子どもも一緒になって遊んだのが、折り紙づくりだ。最後の作品は、奇しくも「家」だった。

 国や民族の垣根を乗り越えて、この家が子ども等の寄る辺とならんことを、心より祈っている。