「温故創新」211119 N945 伊波喜一

励まされ続けて いつか 励まして レジリエンスを 高める言葉                

 窓外のイチョウが真っ黄色に輝いている。「金色」とは言い得て妙である。

 夏の暑さを乗り越え、栄養分を幹に貯める。そして、生を全うして散っていく。人に例えると、人生の達人であるかも知れない。

 苦境にある時、往々にして人は自分の事しか見えなくなる。また、見なくなる。周りを見る余裕がなくなり、苦しんでいる自分の殻を抜け出せなくなる。

 それは人間関係だったり、金銭の不如意だったり、自身の将来に対する悲観だったりと様々である。自分の小さな殻の中から抜け出せず、その中でもがき苦しむ。

 ある日ある時、その人の知識が求められる時があった。医療の専門知識を活かして、求め手に医療の具体的知識を助言することが出来た。求め手は体の不調を訴えていただけに、その助言が大変参考になったようで、顔が輝いていたそうだ。

 笑顔を見て、その人もまた元気を取り戻していった。

 仏典には「人の前に火を灯せば 我がまえ明らかなるが如し」とある。先の見えないこの時代、自分のことで汲々としても当然であろう。自分の目の前の事で精一杯なのが自然だ。だが、他者へ心を砕くとそれが大きな力となる。

 励ましの心・思いやりの心は、人の心を大きく豊かにしていく。