「温故創新」220524 N1038 伊波喜一

大局の 判断できず 引きずられ 成り行きの中 即断避けて        

 日中の暑さは、一体どうしたものだろう。肌を焼くような、強い陽射しが照りつける。肌がヒリヒリする。仕舞っていた扇風機を、もう出さなくてはならないようだ。

 米国のバイデン大統領と岸田首相が、台湾有事について会談した。米国は台湾に対するこれまでの「あいまい戦略」から、「明確戦略」へと方向転換する。背景に、ロシアのウクライナ侵攻があることは明らかである。

 中国を正当な国家として認める「1つの中国」政策を、米国は維持している。ただし、「台湾を武力で奪う権限を、中国が持っているという意味ではない」と発言し、「中国が台湾侵攻に踏み切れば、ウクライナで起きたのと同じような行動になる」と牽制した。

 一方の岸田総理は「一方的な現状変更の試みを許さないよう、日米同盟のさらなる強化が不可欠だ」と応じた。さらに「防衛費の相当な増額と防衛力の抜本的な強化」と、「反撃能力を含めて、あらゆる選択肢を排除しない」と表明した。

 反撃能力とは、自民党の言う「敵基地攻撃能力」を言い換えたものである。米国の持つ核兵器を共有する「核共有」が、それである。 

 非核三原則を貫いたことで、日本はアジアを始めとする世界の国々に侵略の意志がないことを示した。今ここで大局に立たずに断を下したならば、次世紀に禍根を残すことを忘れてはならない。