「温故創新」220119 N993伊波喜一

人々の 姿を忘れ 追い求め 労働力の 商品化よ        

 オミクロン株の拡大が、深刻化している。医療体制が逼迫どころか、崩壊しかねない。病床率の逼迫が、現実のものとなっている。感染予防行動を徹底し、拡大を防ぐ以外に今のところ手がなさそうだ。

 コロナ下で原料が手に入らず、物価が上昇している。

 日本の場合、平均賃金が上がらないので、物価高は暮らしを直撃する。企業は原料高を価格に上乗せ出来るが、これではいつまで経っても景気が回復しない。

 格差社会と言われて久しいが、現実はそんな生易しいものではない。人間の労働力の徹底的な商品化だ。労働力は賃金に換算されて、価格に反映される。物の価値を図る基準は、全て価格ということになる。

 ここには、労働に対する尊厳性など微塵も感じられない。いわんや、ボランティアをやである。

 経済が困窮し福祉が滞ると、人は金持ちを羨む。羨みが高じて妬みに変わると、社会が不安定化する。のみならず、暴動化して社会を不安に陥れる。

 人の欲望には、限りがない。ほって置くと、他者を食いつくす。何のために、誰のために、欲望を満たすのか。これに答えをもたらすには、経済の根本を問わなければなるまい。

 欲望を追求するだけでなく、コントロールして自他の幸福を求める哲学が求められている。