「温故創新」211221 N977 伊波喜一

独り立ち するには人と 関わりて 孤独で人は 力出せぬか   

 北国から寒波の映像が流れてくる。東京が寒いといっても、積雪に覆われるわけではない。降り積もる雪の中での暮らしは、労力と忍耐を要する。雪に閉ざされる閉塞感との闘いも、大変である。

 コロナ下で、人との接触が減った。代わりに、家族での団欒を大事にする風潮が露わになった。

 多摩地区の郊外というと、最寄りの駅が近くにない場合が多い。当然、通勤や買い物などの便が悪い。ところが、郊外に居を構える人が増えているそうだ。

 感染予防のために、土間付きの住居が求められている。また、遠くに行かなくても、自宅でバーベキューなどをすることが流行っている。 

 これらの現象は、これまで気づかなかった「触れ合い」の価値に気づいたものと言えよう。感染を避けながら、家族という単位での触れ合いで人の人たる所以を求める。ここに、合理だけでは割り切れない人の面白さがある。

 ある調査によると、直接の触れ合いがなくても、近くにいると感じられるだけでストレスが軽減されるという報告がある。

 思いを言葉に、行動に示していくことの大切さがここにある。

 私達の想念は日常、何万回も思いを巡らしている。そのちょっとした励ましの一言や仕草で、人は心が強くなり生きる力を得る。

 独りに置いてきぼりにしない社会こそ、私達の責務ではなかろうか。