「温故創新」 211214 N970 伊波喜一

出来ること 広げ過ぎずに 足元を 固めながらも 商い進め 

 周りに建物の光がないせいで、東から上る月がくっきり見える。気のせいか、大きく見える。

 夜の9時を回ったころから、車の通る音も途絶えがちとなる。周りの景観は随分変わったが、静けさだけは子どもの頃と変わらない。祖父母が元気だった頃が、思い出される。

 北中城村役場の近くに、和菓子屋がオープンした。アメリカ住宅を改造して、板敷を巡らしている。座って食べることもできる設えとなっている。

 和菓子は味が繊細で、四季を反映して作られる。見た目で味わい、食べて楽しむ。ただし、原材料が手に入りにくく、日持ちしない和菓子は敬遠されがちである。凝った和菓子では、商売にならない。

 そんなことを心配したが、どうやら杞憂のようだ。あんこにこだわりながら、なじみのある菓子を並べている。どら焼やきな粉餅など、食べたことのある商品を店頭に並べることは、お客にとって安心感を与える。そしてメニューを広げ過ぎず、シンプルな味でリピーターを増やしていく。

 このことは、戦略的にも好ましい結果となろう。開業しても商売にならなければ、勿体ない。現実から学び、現実を変えていく。

 先ずは北中城に足場を築き、全土に餡菓子を広めていけるよう、応援してゆきたい。