「温故創新」211213 N969 伊波喜一

スクラップ &ビルド 使い捨て 発想変えて SDGsに 

 南国は暖かい。日中は暖かいを通り越して、暑い。麦わら帽を被らずにちょっと外仕事をしていたら、頭が日焼けしていた。冗談ような本当の話である。

 実家の平屋は築60年になる。祖父と父が細部にこだわって造った。木造コンクリートの平屋で、柱と梁ががっちりと屋根を支えている。

居間の柱には、筆者や娘たちの背丈を定規で引いた痕が、くっきりと残されている。懐かしい記録だ。

 築60年といえば、人間に例えると還暦を迎える。メンテも必要となろう。そんなわけで、知り合いに家を見てもらった。

 予想外にコンクリート製の桟が傷んでいて、鉄筋の腐食が進んでいた。当初の予定とは違って、水漏れ対策などの応急処置が最優先だ。 

 沖縄のアメリカ住宅は、DIY(Do It Yourself)の極地である。彼等はとにかく、メンテに時間をかける。時間を見つけては、補修をする。だから、築60年のコンクリート家でも現役である。コンクリートの寿命は60年、というのは必ずしも正しくない。

 したがって補修のインターバルも短く、補修箇所のスケジュール管理が綿密である。それで「壊す」よりも、「長く持たせよう」とする。

 資源は有限である。今使い尽くせば、未来は使うものが無くなる。今を消費して、そのツケを未来に回す愚だけは避けなければならない。使い捨てから、長持ちさせる方向へ発想を変えなくてはならない。