「温故創新」200728 N496 伊波喜一

自然界 生態系の 不思議さよ 微々たる変化 謎に迫りて     

 隣の公園の木に、クワガタがぎっしりしがみついている。

 一昨年はたくさんいたが、昨年はほとんどいなかった。ところが今年は、またいっぱいいる。

 何が原因なのか、さっぱり分からない。生態系が変化したということになるのだろうか。 

 現実世界には必ず境界がある。境界は界面のことで、現実と非現実を隔てる壁のようなものである。

 インターネットやバーチャルな世界にはこの境界がない。実際の生活では、現実という実態があるからこそ、非現実という幻想が成り立つ。これは不可逆性である。虚構の世界から現実世界に降り立つということは、実際には成り立たない。 

 今この実体感が、私達の世界から失われつつある。クワガタ自体は知っていても、生きているクワガタ、自然の中にいるクワガタを目にし、手に取る体験はほとんどない。このリアル感の欠如は、そのまま感性や情緒の発達に影響する。 

 例えば、学校教育から体育や家庭科、音楽や図工などの教科が減ってゆくとどうなるか。実体験のない知識は、いざという時に力を発揮しないし、暴走する。 遺伝子操作など、その典型であろう。

 人は神ではない。神の領域を冒せると考えると、しっぺ返しをくらうのではなかろうか。