「温故創新」210321 N702 伊波喜一

水戸地裁 第2原発 差し止めに 安全性の 実現疑問            

 週末の雨は花粉を洗い流す。中国大陸から飛んでくる黄砂も、洗い流してくれる。土中に滲みこんだ雨が、土を柔らかくする。その分、雑草も顔を出す。 

 東海第2原発は安全性が確保されていないとして、茨城県など9都県の住民が水戸地裁に運転差し止めを求めた。

 水戸地裁は「実現可能な避難計画や防災体制が整えられているというには、ほど遠い」として、運転を認めない判決を言い渡した。 

 今回の判決では、仮に原発で事故が起きた場合、近隣の住民90万人余りをどう避難させるのか、計画と体制の不備をついている。 

 原発事故は施設の安全性だけでなく、放射能汚染を避けなければならない。茨城県などは「広域避難計画」を策定したが、14市町村中策定済みは5市町村にとどまる。

 難航している理由の1つが、避難の手段だ。

 住民は原則、自家用車で避難するが、高齢者はバスで避難する。2万人をバスで避難させると400~500台のバスが必要となる。しかし、その見込みは立っていない。 

 この10年間、原電の発電量はほぼゼロだ。再稼働は命綱であろう。

 しかし、計画さえも立たない状況下で、万一事故が起きた場合の損失は計り知れない。 

 リスクヘッジをどう避けるか、賢明な判断を願いたい。