「温故創新」210320 N701 伊波喜一

胚盤胞 iPSの 細胞を 不妊治療の 改良期待            

 東京でも桜の開花が寄せられている。急に暑くなったり冷え込んだりと、一日のうちでも陽気が目まぐるしく変わる。

 その中、白色の花弁を開かせて、桜は春を招き寄せる。その健気さに心洗われる。 

 iPS細胞の培養方法を工夫し、受精卵が分裂を重ねて成長した胚盤胞に似た状態に出来たと、米テキサス大などが発表した。

 この疑似胚細胞は、ブラストイドと呼ばれる。本物とは違い、子宮に移植しても赤ちゃんには成長できないとみられる。 

 現在、不妊治療の体外受精を改良する研究には、余った受精卵が使われている。ただし、提供される数が少なく、有効な実験結果が得られていない。 

 人の受精卵を使う研究では、胚盤胞に成長後、臓器ができ始める受精後14日までに培養を中止する国際ルールがある。

 ブラストイドを利用すれば、難病の原因遺伝子の解明や治療法、新薬の開発に役立つという。 

 医学と倫理の関係は、簡単ではない。

 生命体は物質で成り立っているが、そこには感情や思考が伴っている。両者は不二の関係にあり、倫理哲学の伴わない医学は暴走する。逆に医学的知見を持たない倫理は、ドグマと独善に陥る。 

 生命哲学が求められている所以は、まさにここにある。