「温故創新」210219 N672 伊波喜一

談合の 体質抜けず 内向きに 品質管理 置き去りにして         

 空気が乾燥している。湿度が19%を記録し、異常乾燥注意報が出ている。火災や火の元には十分、気をつけてゆきたい。 

 五輪組織委員会会長を辞任した森氏が、後任を独断で指名しようと試みたが頓挫した。これは密室どころの騒ぎではない。 

 日本社会では、談合や密議の体質が色濃く残っている。始めに結論ありきで、途中の過程を経ずして結果を求める。闇カルテルや裏取り引きなど、全て自身の都合次第で結論づけるやり方だ。 

 物事にはすべからく決まりや順序がある。決まりを無視して行うとミスや不正を誘引し、取り返しのつかない事故を引き起こす。

 人事の透明性や公平性、法に則った会計処理の仕方などの手順を踏み外すと、後々大きな悔いを残すこととなる。 

 今回の件は日本社会の風通しの悪さを、いみじくも露呈している。以心伝心や腹芸、物言えば唇寒しでは、伝わるものは表面上の結論だけに留まる。

 その奥にある精神性や柔軟性、プロセスを伴った非合理の重きは考慮だにされない。 

 人は感情や理屈を言葉に置き換え、それを行動化する。だから、言葉には魂が宿る。

 その言葉を粗略に扱う人や機構、国家は衰退する。国を司る人達は、虚心坦懐にこの事を受けとめたい。