「温故創新」201127 N602 伊波喜一

大茶盛 回し飲みせず 一人碗 伝統行事 考慮し直す     

 日中は暑いが、夜半は風が吹きヒンヤリとする。薄着のままでいると、風邪を引いてしまう。 

 奈良市西大寺で大茶盛が行われた。従来は直径40cmの茶碗で回し飲みをするが、コロナ禍のため一人一碗で個別に飲んだ。参加者も60畳の和室に招待者が15人で、2m間隔で着席した。

 同じ器で茶を味わい、心を一つにする「一味和合」の精神を模索し、工夫した。 

 師走から新春にかけては、多くの伝統行事と初詣が行われる。

 例年だと、大勢の人手で大賑わいするところだ。今年はそれが出来ないため、祭りや参詣の規模を縮小したり、お守りの授与の次期を早めたりして対応している。

 1千年以上続いてきた行事もあり、伝統を絶やさないようそれぞれに工夫している。 

 伝統は化儀に支えられている。伝統の型には深い意味が込められている。化儀を忠実に再現しようとするのは、尊いことだ。

 しかし、伝統を追求しすぎるあまり化儀に拘ると、杓子定規になる。形式が先行し、窮屈になる。そこから、マンネリが始まり、崩れていく。 庶民の願いをどうつかみ、叶えていくのか。まさに各界の知恵と工夫が試されている。

 伝統に安住して自己改革出来ない組織も人も、淘汰されていく。