「温故創新」211007 N902 伊波喜一

温暖化 予測に貢献 モデル化を 渡米後研究 懐深し   

 早稲田街道沿いのイチョウの葉が、枯れ始めた。色つやが落ちて水分がなくなり、黄茶の混じったカサカサの葉になってきた。

 ケヤキは根の周りをコンクリートで固められ、土中に雨水が滲みこみにくい。十分に水分補給が出来ない中、この酷暑を乗り切ってきた。何とも、逞しい生命力である。

 米プリンストン大の真鍋淑郎氏等が、ノーベル賞を受賞した。地球温暖化などの予測に関する気候変動モデルを確立した功績が、評価された。

 1960年代にすでに、大気や海洋など様々な要因が複雑に絡み合う気候変動の仕組みに着眼した。大気中の二酸化炭素の濃度上昇が、地球温暖化につながることを実証した。

 真鍋氏の理論は、2007年の「国連の気候変動に関する政府間パネルIPCC)」にも生かされている。

 今では常識になりつつあるが、気候変動が進めば豪雨や台風といった自然災害が深刻化する。熱中症や熱帯病の流行も増える。目に見えず自覚しづらい二酸化炭素濃度に着目し、研究を続け抜いたことに感嘆する。同時に、研究にかける米国の執念と懐の深さに、畏怖の念を覚える。

 研究も人も醸成には時間がかかる。途中でかき混ぜたり余計な口出しをしたりせず、適度に寝かせて置くことが何よりも大切であろう。