「温故創新」220831 N1101 伊波喜一

巨星落つ 再生させん 人知れず 陰の努力に 人も組織も       

 24日、稲盛和夫さんが亡くなった。享年90歳。

 稲村さんは鹿児島大学を卒業して、27歳で京セラを立ち上げた。2000年にはKDDIを設立し、モバイルの普及に努めた。全て、今につながる技術の基礎を創り上げた。

 その間、83年には「盛友塾」を立ち上げ、若手経営者の育成を図った。84年には私財を投げ打って「稲盛財団」を立ち上げ、健全な会社運営を通して社会に貢献していくことを普及させた。

 圧巻は10年のJAL再建である。ブランド企業のJALが陥っていた「収支」について、徹底した合理化で負債を減らしていった。

 12年にJALは一部再上場を果たした。創業以来、伝統ある一流企業が潰れる中で、再上場を果たしたことは特筆に値する。

 その経営哲学の一つに「経営者自身が『心を高める』努力を怠ってはならない。経営者が自分の器を大きくすれば、企業も必ず成長発展を遂げていく」がある。

 また「人間として正しいことを追求する」は、シンプル過ぎてごまかしようがない。昨今の企業や政治家の不祥事を見れば、その卓見の正しさに襟を正さざるを得ない。

 稲盛さんは人様から意見を頂戴する時に、両手を合わせて笑顔で接していた。温厚で謙虚なその姿が、忘れられない。

 経営の究極は、やはり人格の陶冶にあることを実感している。合掌