「温故創新」201030 N577 伊波喜一

自殺率 10年低下で 安堵する 未成年の 増加防がん 

 公園のケヤキの葉が色づいたかと思うと、葉が散り始めている。

 これから師走の半ばまで、枯れ葉が舞い落ちる。巡りくる春に向けて、冬ごもりの準備が始まる。 

 政府は2020年版の自殺対策白書を決定した。

 自殺率は、人口10万人当たりの自殺者数を示す。19年は全体で16人で、10年連続で低下した。 

 その内訳を見ると60代が18人、50代が21人、40代が18人、30代・20代が17人と、減少している。高齢者や中高年の自殺の原因や動機の最多は、健康問題で、経済・生活・家庭問題があとに続く。身体の諸機能が低下した上に、生活や家庭の状況が激変すれば、誰しも前途に悲観的になる。 

 一方、20代未満は3.1人と、前年比で0.3ポイント増となっている。これから未来を選択し、開拓していける世代が悲観的にならざる要因を抱えていることは、深刻である。

 特に今年はコロナ禍で、負の影響が大きく出ている。

 今後、経済が立ち行かなくなると、教育や福祉、公共事業など全てが後回しになってしまう。この影響は、ボディブローのようにあとから必ず出てきて、長きにわたり国民の生活を疲弊させてゆく。

 国は経済支援と併せて、心の拠りどころとなるセーフティネットを、速やかに実行したい。