「温故創新」200731 N499 伊波喜一

コロナ禍の 中で旅立つ 見送りに 声よ届けと 足を運びつ  

 7月は雨続きである。明日からは、やっと晴れるとの予報だ。心機一転、太陽が恋しい。 

 前職の後輩のお父様が亡くなった。訃報を聞き、電話すると「コロナ禍ではあるが、父の旅立ちを見送りたい」ので、葬儀を執り行うと返事が返ってきた。 

 通夜当日は朝から雨模様のため案じていたが、午後からは薄日が射し、式が始まる頃にはすっかり雨も上がった。 

 式場には三密を避けて椅子が置かれ、供花が供えられていた。供花の多さから、故人が多くの人と交友を深めていたことが分かる。

 通夜には近くから遠くから、実に多くの人が参列に駆けつけていた。故人の闘病を励まさんと、250名もの人が励ましの言葉を送ってきたとのことだ。

 故人はその一言一言を、どのような思いで読んだことか。命ある限り、生を燃焼して生き抜きたいと思ったのではないだろうか。 

 そして、それを目の当たりにしたご家族は、どれだけ励まされたことだろう。故人の生きてきた証に触れ、故人をより誇りに思ったに違いない。 

 最後の10日間、故人は病院から退院し、自宅でご家族に見守られながら旅立ったという。

 現代は、家庭から生死の営みがなくなって久しい。家族は深い宿縁で結ばれている。ご家族の献身に故人も謝している事だろう。 合掌