「温故創新」190421 N271 伊波喜一

平成と 令和にこめる 思いあり 文(ふみ)有りてこそ 国は成り立ち

 ここのところ、まるで5月のような陽気が続いている。湿度が低く、日なたは暑いが日陰はひんやりとする。一年の中で最も過ごしやすい時期である。これ幸いと衣服に風通しした。 国文学者の中西進氏は、令和の考案者と目されている。中西さんによると、とは善のことで、品格のあること・尊敬を受けることをいう。令に近い日本語がうるわしいで、整っている美しさをさす。野放図なこの次代だからこそ、整美が求められる。加えて、平和を維持するという強いメッセージがそこに込められているという。 万葉集には、天皇から庶民が詠んだ4500首が載っている。山上憶良には「春されば まづ咲くやどの 梅の花 独り見つつや はる日暮らさん」の句がある。太宰府「梅花の宴」で詠んだものである。当時、梅は大陸から移植した貴重な樹木である。その梅花を高貴な宴で愛でた。それが千数百年を経た今、時や状況を越えて私達の琴線にふれ、心を穏やかにさせてくれる。 言葉というものは、つくづく面白いものである。時間をかけ衆議を尽くすことで初めて、その持っている味わいが伝わってくる。令和はそういう時代であってほしい。