「温故創新」240306 N1402伊波喜一

国民の 胃袋満たす 政策を 軍拡愚か 共存存続

 昨夜の雪が、小雨に打たれて溶け始めている。凍らないようだ。

 5日北京で、中国全人代が開幕した。李強首相は「政府活動報告」で、2024年の経済成長目標を5%前後に設定した。ゼロコロナ政策の失政で、経済活動や不動産不況が尾を引いた格好だ。

 23年の海外からの直接投資は、前年比82%減の330億ドル(約5兆円)となり、外資離れが顕在化した。李首相は「国家安全保障と社会の安定を守る」と、経済発展より国家安全を重視しているが、「改正スパイ法」の実行を警戒する外資の不安を、解消できない。

 一方、国防費は前年比7.2%増で、約34兆8千億円となった。実質経済成長率の約2倍である。軍拡路線を驀進中であり、国民生活に相当の負担を強いることになろう。

 社会保障費は、前年比3.12%増となる約135兆円を計上した。これは11年度の2.8倍であり、今後さらに増加することが確実視されている。中国国家統計局によると、23年の65歳以上の高齢者数は2億1676万人と、全人口の15.4%を占める。35年には21%に達する。高齢化社会日本の後追いをする格好だ。

 日本と異なるのは、年金制度と国民健康保険制度が、十分に整っていないことだ。加えて、広大な国土と人口を抱えている。インフラ整備や公共施設の維持管理に要する費用は、比べようもない。

 中国共産党の舵取りは、極めて難しい局面に立たされている。