「温故創新」230720 N1236 伊波喜一

豊かさと 幸福度との 関連は 中間層に 手厚い施策  

 夜が明けてしばらくすると、野鳥の鋭い声が響き渡る。朝になって動き出すエサを、目敏く見つけたのかも知れない。

 10月に衆院解散が噂されている。焦点の1つに、子育て世代への手厚い対策と、高齢者への年金等の確保がある。政府は「異次元の少子化対策」に、3兆5千億円の財源を充てている。高齢者に充てる年金には、55兆円の予算が見込まれている。

 課題は、いわゆる働き盛り世代への対策である。この30年間、社会の構造改革や意識改革に乗り遅れた結果、25歳から34歳男性の非正規雇用比率は、3%から14%へと広がっている。

 また、年金や高齢者医療の負担は、現役世代に重くのしかかっている。結果、税と社会保障費が国民所得に占める割合は、5割に達している。これがどれだけ大変なことか、家計で考えてみれば分かる。

 所得の半分が税金と社会保障費になるのだから、残りの半分で家賃、食費、教育費、貯蓄、遊興費、個人型年金貯金などを、賄わなければならない。所得が少ない中間層にとって、家賃と食費以外を抑制せざるを得ない。

 必然的に、結婚や子どもを持つ事まで諦めざるを得なくなる。そうなれば、まさに本末転倒である。

 政府は防衛に傾斜するのでなく、庶民の暮らしに目を向けて政策を練らなくてはならないだろう。