「温故創新」240201 N1384伊波喜一

無防備に SNSの 危険性 パンドラの箱 閉じる難し 

 日中は暖かで、まるで3月の陽光のようだ。ところが、夕刻より風が吹き始め、肌を刺す。一晩中風が唸り、窓に叩きつける。

 米上院司法委員会で31日、ソーシャルメディアが若者に与える悪影響についての公聴会が開かれた。与野党の識者がメタやXなど、SNS大手の安全対策をめぐる不備を厳しく追及した。米国では超党派で、規制法案の検討が進んでいる。

 非営利団体「行方不明及び搾取された子どものための全米センター(NCMEC)」によると、オンラインプラットフォーム上で報告された児童の性的搾取関連の投稿数は、昨年過去最高の3600万件超で、この内2900万件がFBとインスタを使っていた。

 メタのザッカーバーグ氏は「従業員約4万人が安全対策に関わっており、昨年だけで50億ドル(7350億円)を投資した」と、強調している。

 一方の日本では、SNS大手の責任を追及する動きはない。 SNSのアルゴリズムは、利用客を画面に釘付けする中毒性がある。かつて、ゲーム脳が指摘されたが、SNSは同一の症状である。脳を刺激し、興奮させる。その快感や快楽から逃れることは、極めて難しい。そうなると、善悪や道徳心が麻痺し、正しく判断できなくなる。

 便利さを求めてパンドラを開いたツケは、取り返しがつかない。早急な規制が必要である。