「温故創新」231227 N1358 伊波喜一

年の瀬に 郵便物を 送る人 賀状の束を 出す人買う人        

 この10年で、筆仕舞いをする方や亡くなる方が目立つ。筆者は今年230枚出したが、若い人達の賀状離れは加速の一途を辿る。かつて、賀状は正月の風物詩だったが、歴史の一齣になる日もそう遠くはないのかも知れない。

 今年は株価が、バブル期の最高値を一時超えた。では、豊かさとは何だろうか。例えば、株価にみられるように、経済成長の側面だけだろうか。現に戦争が起き、身近な人も亡くなる中で、経済の合理のみで豊かさを量ることは出来ない。

 また、グローバル化の中で、世界総人口のたった1%の人が世界の富の99%を占め、飽食する。一方で、栄養失調で亡くなる子ども達が多数存在する。この不平等な現実は、決して豊かな社会とは呼べない。確かに、IT技術の進化や金融市場は、欠くべからざるものである。これらの有る無しで、生き方が形作られる。だがあくまでも、豊かさをサポートするものでしかない。

 人は自然の生み出すものを食べ、吸い、飲み、吐き出し、生きている。それを土台として、文化や芸術、学術に触れ、癒されてゆく。

 お金とそれを生み出す経済は、手段としては不可欠だが、それが目的化するのは、やはり本末転倒である。日本が目指す近未来に、私達がどれだけの付加価値を見いだせるかによって、日本の未来は明るさを取り戻すだろう。