「温故創新」230828 N1272伊波喜一

本当の 豊かさ求め ひた走る GDPで 示す限界   

 沖縄アリーナでは、バスケットボールワールドカップ2023がたけなわである。日本は欧州勢のフィンランドに、初めて競り勝った。

 世界第3位の経済大国日本の所得は、一人当たり4万ドルである。2023年3月発表の国連「世界幸福度報告書」では、日本の幸福度は137国中47位である。日本以外のいわゆる経済大国も、上位には入っていない。

 つまり、経済大国=幸福度が高いというわけではない。GDPを人口で割った「一人当たりGDP」は、国民の平均的な豊かさを表わしている。「世界価値観調査」によると、一人当たりGDPが1万ドルを超えると、幸福度との相関関係が見られなくなる。

 資本主義に生きる現代人は、幸せになるために稼いでいる。稼ぎがないと、幸せを感じられない。資本主義の世の中に生きる私達は、誰もがお金の価値を認めざるを得ない。

 しかし皮肉なことに、稼げば稼ぐほど幸福から遠ざかっていく。

 仏典には、心の豊かさを譬えた逸話がいくつも出てくる。ある時、少女が釈迦に供養しようと思い立った。が、供養できるものは何もない。そこで、少女は釈迦に笑顔を届けることにした。「顔施」である。

 経済的な供養は出来なくても、心の財を届けていく。そこに、真の喜びがある。これは決して、経済的価値観では測れない。こんなに簡単なことを忘れて、あくせく働く。本末転倒してはいないだろうか。