「温故創新」231228 N1359 伊波喜一

罪も無き 無力の庶民 狙い撃ち 公安・検察 魔性と化すか        

 もみじの枯れ葉が、枝にしがみ付いている。風で散り飛ぶ前に、ほうきではたき落とす。枯れ枝には芽が膨らみ、春の準備をしている。

 東京地裁は27日、大河原化工機が警視庁に逮捕、東京地検に起訴されたのは違法と認め、都と国に計1億6千万円の賠償を命じた。 

 問題とされたのは、カップラーメンの粉末スープの製造などに使われる、同社の噴霧乾燥機である。これが軍事転用可能であり、輸出規制対象であるのに、国の許可を得ずに輸出したとした。外国為替及び外国貿易法違反の容疑で、大川原正明社長ら3人を逮捕した。

 罪状否認を続ける社員達を「人質司法」と呼ばれる長期拘留で、自白を強いた。そのため相嶋静夫さんは拘留中に体調を崩し、胃がんを発症した。だが、保釈が認められず、獄中で病死した。

 実際には殺菌性能を満たしておらず、捜査の不備を指摘された。結果、証拠不十分で、起訴取り消しとなった。一体、何が目的で起訴したのかと、疑わざるを得ない。

 捜査は2017年春から始まっており、中国との関係が悪化してきた時期と重なる。中国脅威論と時を同じくして起こった安倍元首相の「経済安保」を背景に、大川原化工機への見せしめとして「一罰百戒」を狙っていたとしたなら、こんなに恐ろしいことはない。これこそ、国家権力の乱用・悪用である。権力の魔性に魅入られた人達への自戒は、不当な裁判に声を上げ続ける以外にない。