「温故創新」231003 N1308伊波喜一

感染の 拡大止めて 実用化 コロナワクチン 貢献偉大    

 朝は寒いぐらいである。衣替えをしようと思うが、日中は汗ばむ。  

 スウェーデンカロリンスカ研究所は、今年度のノーベル生理・医学賞をカタリン・カリコ氏とドリュー・ワイスマン氏に贈ると発表した。mRNAワクチンの開発と実用化に貢献した業績が、評価された。

 従来のワクチンは、薬品で処理して無害化したウイルスやウイルスのたんぱく質を、大量に作っていた。そうしないと、強い炎症反応が起きるからだ。

 mRNAワクチンはたんぱく質ではなく、レシピに当たるmRNAを体内に届け、ウイルスのたんぱく質を作る。カリコ氏等はmRNAの一部を別の物質に置き換え、飾りを施した状態にした。すると体内では自身のRNAと勘違いして、炎症を起こさなかった。

 ここに至るまでの道のりは、困難を極めた。炎症の原因追究、解明には粘り強い取り組みと同時に、様々な軋轢もあった。予算の裏づけを確保するのも、大変なことだ。

 そんな中、先行研究に目を通しながら独自の理論を実証していった根底には、人類の危機から人命を救うという目的と使命感があったことは、容易に想像出来る。個人の業績を挙げることと併せて、人類への貢献度を基準にすると、ノーベル賞の持つ意味が実感される。

 このワクチン開発の成果が、宗教や思想、民族を超えて、広く世界中に行き届くことを願う。