「温故創新」230802 N1246 伊波喜一

待ち望み 国産ワクチン 承認へ 周回遅れ ノウハウ蓄え    

 沖縄は台風6号が居座って、身動きが取れない状況である。空・海の便も欠航し、多くの人の足を奪っている。復旧が急がれる。

 第一三共が開発した新型コロナワクチンの国内での製造販売を、厚労省は許可した。オミクロン株対応にはなっていないが、次のステップへの足がかりとなろう。

 かつてはワクチン大国だった日本だが、後遺症等への集団訴訟が尾を引いて、製薬会社がワクチン開発から手を引いた。その間、海外では重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行もあり、ワクチン開発の必要度が高かった。

 その過程で、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを使う基盤が整ったといえる。対岸の火事と捉えていた日本と欧米とでは、緊急性と危機感の差がそのまま開発の差に直結した。「危機の後にはチャンスが回ってくる」を、欧米は地で行った格好だ。 

 周回遅れではあるが、ここで日本がワクチン製造の承認を得たのは大きな一歩である。総じて、日本の薬は質が高い。均質な上に多品種で、ニッチな要望に応えることが出来る。

 百年企業の多い日本ならではの新薬開発は、その品質を長く後世に伝えていけるものと信じている。先行経験に学びながら、日本人の体質にあったワクチンを開発していけるだろう。

 国としても個人としても、しっかりと応援してゆきたい。