「温故創新」230920 N1295伊波喜一

人見抜き 人伸ばす才 リーダーの 見回す力 共感力と   

 日本列島は竜巻や集中豪雨で天気が急変し、不安定な一日となった。 

 何事によらず、人の社会は人の力で動かされている。世界中が不透明で見通せない中、国も企業も生き残りに全てを賭けている。そのリーダーに求められるものは、何だろうか。 

 ジャニーズ性加害の会見で見られたように、東山新社長と井ノ原子会社社長のコメントは、両者の違いを際立たせるものだった。

 一貫して厳しさを表に出していた東山氏に対して、井ノ原氏はファン目線に立っていた。克己心と信念で今の地位に上った東山氏は、努力と才能の人であろう。

 「夢を諦めて、この問題に全力で取り組む」としたのは、本音に近い。「火中の栗を拾う」と言いたかったのだろう。ただ、ここでは性被害にあったメンバーの痛みに寄り添い、共感する思いが十分に伝わってこなかった。

 反対に井ノ原氏からは一貫して、ファンの気持ちを汲みながら、その目線でのコメントがなされた。メンバーとそれを支えるファンの立場に立ってのコメントは、優しさの中に底支えを感じさせた。

 組織の歯車にさえもなれず、孤独を感じているのが、今の世である。そこで求められるリーダーは、傾聴と共感の人である。人は悩みを共有してくれるだけで、心の支えとなる。硬直した指示系統の組織ではなく、思いや意見に共感しあえる組織は、いざという時に崩れない。