「温故創新」211114 N940 伊波喜一

タテ社会 男性原理に クギを刺し タブー破りて 発想転換            

 サクランボとブルーベリーの葉が散ってくる。今掃いても、直ぐに散ってくる。まるで、いたちごっこである。カサカサになった葉を見ると、寿命を尽くしたようにさえ感じる。

 社会人類学者の中根千絵氏が亡くなった。享年94歳。学生時代に読んだ「タテ社会の人間関係」には、強烈なパンチを食らわせられた。

 日本社会は横のつながりが弱い。仲間同士で解決するよりも、職場でのタテ関係で物事を処理していく傾向が強い。

 だから、どんなに小さな組織にも、束ねる人がいる。その人に相談し判断を仰ぐことで、自分の立場が守られる。

 異業種交流がなかなか進まないのは、寄らば大樹の陰から逃れられないからである。スクールカーストや裏ボス、派閥などは、まさにタテ社会の産物である。

 退職してみると、いかにタテ社会の論理に従順で、組み込まれていたか分かる。組織から弾かれることへの恐怖が、自身を組織に忠実な人間に仕立て上げていたと言っても過言ではない。

 傍から見ると、ピエロそのものである。しかし、本人は真剣そのものだ。大真面目に、組織貢献を演じている。それが組織の持つ恐さである。放置しておくと害毒へと変わり、自らを蝕む。

 風通しの良い組織づくりのためには、フラットに話し合える人間関係づくりを敢えて取り入れる必要があろう。