「温故創新」230903 N1278伊波喜一

里親や 養護施設を 出た後の 支援切らさず 継続養護   

 朝から陽射しが強い。そんな中、働きアリは脇目もふらず、地面下に巣づくりしている。食料になるものを、溜め込んでいるのだろうか。

 児童養護施設や里親家庭など、「社会的養護下」で育っている若者達がいる。養育すべき保護者が何らかの理由でいなくなったり、放棄されたり、虐待されたりと、事情は様々である。

 その数は全国で、約4万2千人もいる。その子達が自立できるまでの期間、国が面倒を見るのは当然の事である。しかし現行では、18歳(最長22歳)までには養護施設を出なくてはならない。

 果たして今の日本で、18歳で自立して生活していけるだろうか。これはかなり厳しいと、言わざるを得ない。

 雇用条件の整っている職場なら、身元保証人となってくれるだろう。そうでない場合は、社会的信用を得ることが出来ない。だから、ローン1つ組むにも、そのことが悪条件となる。進学するにしても、学資ローンを組むのは容易でない。払い続けるのは、さらに茨の道となる。

 いったん施設を出ると、困りごとがあっても、実際にはなかなか相談に行っていない。気後れしたり、慣れ親しんだ職員が辞めてしまったりが原因で、足が遠のく。人と人との関係は、簡単ではない。

 国は居場所期間の延長と同時に、居場所づくりを積極的に進め、必要な人員を常勤として確保すべきである。そしてエキスパートを揃えて万全の対応を取れるよう、十分な予算の措置を強く要望する。