「温故創新」230904 N1279伊波喜一

対話して チーム作りの 根幹を 自分に気づき 相手に気づく   

 東京は久しぶりに雨の一日である。心なしか、秋めいている。陽射しが緩み気温は下がっているが、湿度が高く蒸し暑くてたまらない。 

 バスケ日本代表が、ワールドカップ(W杯)でアジア勢最上位となり、来年のパリ五輪出場権を獲得した。通算3勝2敗の19位で、大会を終えた。参加チームの平均身長では差があるだけに、金星である。

 トム・ホーバスヘッドコーチ(HC)は、21年の東京五輪でチームを銀メダル獲得へと導いた。どのように、チーム作りをしたのか。

 指導の前提として、皆の気持ちを知らないと自分の考えが伝わらない。だからHCは、リレーションシップやコミュニケーションをとることを重視している。その上で、自身の役割とチームメイトの役割の両方を考えさせていった。

 さらに、ファンダメンタル(基本)を大切にさせた。基本が身につくよう、繰り返し練習させていく。このことを盆栽に例えて、「(悪い癖は)毎日カットしないと、おかしくなる」と表現している。

 日々の積み重ねを重視し、例えばシュート練習につき合いながら、日本語を駆使して相手に伝わるよう、コミュニケートとしている。

 今、社会的な不祥事を犯している企業のトップに欠けていることは、HCのやっていることと真逆である。社員と話もせず、心も汲み取らない。上から命令するだけでは、暴走するのは目に見えている。

 トップ自身が人間革命しない限り、社会の風土は変えられない。